切粉破砕機と切粉圧縮機の違い|かさばる切粉を減らす方法

2026年9月29日

「切粉置き場がすぐ一杯になり、回収業者を呼ぶ回数が減らない」
「長い切粉が絡まって、コンテナに詰め込むだけで手間がかかる」
「切粉と一緒にクーラントまで捨ててしまっている気がする」

——本記事は、こうした切粉の「かさ」と処理コストに悩んでいる生産技術・設備担当の方に向けた解説です。

チップコンベアで切粉を機外へ運び出したあと、その切粉をどう扱うかは意外と見落とされがちです。しかし、切粉処理のコストが実際に発生するのは、多くの場合この後工程です。置き場の面積、運搬の回数、処理費用、そして切削油のロス——これらはすべて「切粉がかさばる」ことに起因しています。

このかさを減らす装置が、切粉破砕機(チップクラッシャー)と切粉圧縮機(ブリケットマシン)です。前者は長い切粉を短く切断し、後者は切粉を押し固めて塊(ブリケット)にします。名前は似ていますが、仕組みも目的も、向いている現場も異なります。

切粉処理装置の専門メーカーであるモアテック株式会社が、30年以上の現場知見をもとに、両者の違いと選び方を整理します。

読み方の目安(お急ぎの方へ) ─ タップすると該当箇所へ移動します

  • なぜ減容が必要かを知りたい → 1章・2章
  • コストがいくら変わるか知りたい → 2章の試算
  • 破砕機と圧縮機の違いを比べたい → 3章〜6章
  • 自社にどちらが合うか判断したい → 7章
  • 既存設備に後付けできるか・費用感を知りたい → 9章

1. 切粉処理のコストは「運んだ後」に発生する

チップコンベアを導入すると、切粉は自動的に機外へ排出されます。ここまでは多くの工場で実現されています。

しかし切粉は、排出された時点ではまだかさばったままです。特に旋削加工で出るカール状の長い切粉は、見た目の体積に対して重量が軽く、空気を多く含んだ状態でコンテナに積み上がっていきます。

この状態のまま運用すると、次のような負担が積み重なります。

工場のコンテナに山盛りになったカール状の長い切粉。かさばって置き場を圧迫している状態
※ イメージ図です。

搬送の自動化が済んでいる工場ほど、次のボトルネックはこの「かさ」の問題に移ります。

2. かさばる切粉が生む3つのコスト

切粉のかさが具体的にどのコストに効いてくるのか、3つに分けて整理します。

2-1. 保管・運搬コスト

切粉は重量ではなく体積で場所を取ります。同じ重量でも、かさが大きいほど広い置き場とコンテナが必要になり、回収業者の運搬回数も増えます。

工場の床面積は有限です。切粉置き場が広がるということは、その分だけ生産や仮置きに使えるスペースが減っているということでもあります。

2-2. 処理・売却の条件

金属くずは、条件が整えば有価物として買い取ってもらえる資源です。一方で条件が悪ければ、処理費用を支払う側に回ります。

※ 金属くずの産業廃棄物処理料金は、一般に 0〜40円/kg、または 0〜3,000円/m³ 程度とされています。量や品位、時期の相場、地域によって変動し、有価買取となる場合もあります(出典:産業廃棄物処理事業者各社の公開料金表)。具体的な条件は、取引されている回収業者にご確認ください。

ここで効いてくるのが切粉の状態です。かさばってクーラントを含んだ切粉と、減容され油分が分離された切粉とでは、運搬効率も再溶解のしやすさも変わります。

2-3. 切削油(クーラント)のロス

見落とされやすいのがこの項目です。切粉には必ずクーラントが付着しており、切粉を排出するということは、クーラントも一緒に捨てていることを意味します。

かさばる切粉ほど表面積が大きく、持ち出される油分も多くなります。クーラントの補充頻度が想定より高い工場では、この経路を疑ってみる価値があります。

2-4. ざっくり試算するといくらになるか(破砕機の場合)

抽象的な話が続いたので、具体的な数字で見てみます。あくまで一例であり、実際の金額は切粉の量・材質・地域の料金体系によって変わりますが、桁感をつかむ目安にはなります。

試算の前提

  • 切粉の発生量:4tコンテナ(積載8m³)で月2回の回収が必要な量
  • 収集運搬費:1回あたり20,000円(※1)
  • 詰め替え・清掃作業:1回あたり30分・時間単価3,500円(※2)

※1 4tコンテナ車の収集運搬費の基準額です。地域・距離・契約内容により変動します(出典:産業廃棄物処理事業者各社の公開料金表)。なお金属くずは、金属くずのみで搬出する場合は処分費がかからず収集運搬費のみで済むことがあります。

※2 中小製造業の時間チャージは一般に4,000〜6,000円/時間とされますが、清掃・詰め替えは設備を使わない作業のため低めに見積もっています(出典:製造業向け原価管理の解説記事)。

切粉の体積が約1/3になれば、コンテナが満杯になるまでの期間は単純計算で約3倍に延びます。ここでは保守的に、回収頻度が半分になった場合で計算します。

削減額は切粉の発生量によって大きく変わるため、回収頻度別に並べます。ご自身の現場に近い行をご覧ください。

現在の回収頻度現状の年間運搬費破砕機の導入後年間の差額
月2回(年24回)48万円24万円約24万円
週1回(年52回)104万円52万円約52万円
週2回(年104回)208万円104万円約104万円
週3回(年156回)312万円156万円約156万円

収集運搬費1回20,000円で計算した場合の金額です。詰め替え・清掃の工数削減は含めていません(回収頻度が高いほど、この分も上乗せされます)。

参考までに、月2回のケースで清掃工数まで含めると次のようになります。

項目現状(破砕なし)破砕機を導入
回収頻度月2回(年24回)月1回(年12回)
収集運搬費480,000円240,000円
詰め替え・清掃42,000円10,500円
年間合計約52万円約25万円

詰め替え・清掃は、破砕後は切粉が絡まず扱いやすくなるため、作業時間を半分(15分)として計算しています。

ただしこの試算は前提をかなり単純化しています。実際には次の要素で増減します。

なお上の試算は、運搬費と清掃工数という金額にしやすい部分だけを拾ったものです。実際には置き場スペースの解放や作業者の負担軽減といった、金額に換算しにくい効果も加わります。

自社の条件で計算し直したい場合は、現在の回収頻度と1回あたりの費用をお知らせいただければ、こちらで試算いたします。装置の概算費用と合わせてお出しできますので、投資回収の見通しもご判断いただけます。

3. 切粉のかさを減らす2つの方法

切粉の減容には、大きく2つのアプローチがあります。まず、切粉処理の工程全体における両者の位置づけをご覧ください。

切粉処理の工程フロー。工作機械から出た切粉をチップコンベアで運び、破砕機で短くし、圧縮機で固形化する流れ
切粉破砕機(チップクラッシャー)切粉圧縮機(ブリケットマシン)
何をするか長い切粉を短く切断する切粉を押し固めて塊にする
主な狙い絡まりの解消・搬送の安定・減容大幅な減容・油分回収・資源価値の向上
処理後の形状短くほぐれた切粉円柱状などの固形ブロック(ブリケット)
設置位置搬送ラインの途中・排出口搬送ラインの最終段

両者は競合する装置ではなく、直列につながる工程です。破砕してから圧縮するという構成も一般的に用いられています。

4. 切粉破砕機(チップクラッシャー)でできること

切粉破砕機は、マシニングセンタやNC旋盤から排出される長い切粉を短く破砕する装置です。

4-1. 効果

かさばる長い切粉を短くすることで、モアテックの装置では蓄積容量を約1/3以下に削減できます。切粉置き場の省スペース化、運搬回数の削減、処理コストの低減につながります。

破砕前後の切粉の形状イメージ。左は絡まった長いカール状の切粉、右は短く破砕された切粉
※ イメージ図です。左が破砕前の長いカール状の切粉、右が破砕後の短くなった切粉を表しています。実際の減容の度合いは、切粉の材質・形状や装置の設定によって異なります。

減容以外にも、次の効果があります。

4-2. モアテック製チップクラッシャーの仕様

項目内容
機種DA型(中空軸モーター)/ HA型(平行軸モーター)
主要機幅300型・400型・500型・700型(その他の幅も対応)
モーターDA型 0.75kw〜2.2kw / HA型 1.5kw〜11kw
選定条件機幅・破砕量などの使用状況により選定
塗装色ご要望に応じて対応

チップコンベアの排出口に取り付けて搬送ラインへ組み込むことができるため、切粉処理の自動化・省力化にも寄与します。

詳細はチップクラッシャー(切粉破砕機)の製品ページ、導入実績は切粉破砕機の導入事例をご覧ください。

5. 切粉圧縮機(ブリケットマシン)でできること

切粉圧縮機は、切粉を高密度に押し固めてブロック状(ブリケット)にする装置です。

5-1. 効果

圧縮によって得られる効果は、破砕とは質が異なります。

切粉を圧縮して固形化したブリケット。円柱状のブロックが積み上げられている
※ イメージ図です。形状・寸法は装置によって異なります。

圧縮後はこのような円柱状の塊(ブリケット)になります。ばらけた切粉と違い、積み上げて保管でき、運搬時の取り扱いも容易です。

特に2点目は、破砕機にはない圧縮機固有のメリットです。切削油のロスが気になっている現場では、減容と油分回収を同時に解決できます。

※ 圧縮による減容率は、切粉の材質・形状・水分量や装置の仕様によって大きく変わります。国内で流通する圧縮機では最大1/40程度の減容をうたう製品もありますが(出典:日鉄物産マテックス RUFブリケッティング・システム製品情報)、これは特定機種・特定条件での値です。自社の切粉でどの程度になるかは、実際の切粉サンプルでの確認をおすすめします。

5-2. 圧縮機の場合のコスト効果について

2章の試算は破砕機のケースで計算しましたが、圧縮機を導入した場合はさらに減容できるため、回収頻度をより大きく下げられる可能性があります。

ただし圧縮の度合いは、切粉の材質・形状・水分量や装置の仕様によって幅があります。そのため一律の数字をお示しするのは避けています。実際の切粉サンプルをお預かりできれば、どの程度まで減容できるかを確認したうえで試算いたします。

加えて圧縮機には、破砕機にはないクーラント回収という効果があります。切削油の補充コストが気になっている場合、こちらも削減効果に含めて検討する価値があります。

5-3. 適した現場

圧縮機が特に効果を発揮するのは、次のような現場です。

導入実績はブリケットマシン(切粉圧縮機)の導入事例をご覧ください。

6. 破砕機と圧縮機の比較

両者の違いを、選定に必要な観点で整理します。

比較項目切粉破砕機切粉圧縮機
減容の度合い○(約1/3以下)◎(破砕より大きい)
絡まりの解消◎○(前段で破砕が必要な場合あり)
クーラント回収△(付随的)◎(圧縮時に分離)
搬送ラインへの組込み◎(排出口に直結可能)○(最終段に設置)
設置スペース比較的小さい装置による
長い切粉への対応◎(そのまま投入可)△(前段での破砕が有効)
導入のしやすさ◎(既存コンベアに後付け可)○(構成の検討が必要)

評価は一般的な傾向であり、機種・切粉の条件によって変わります。

ここで押さえていただきたいのは、圧縮機は長い切粉をそのまま投入するのに向かないという点です。カール状の長尺切粉が多い現場では、破砕機を前段に置いて短くしてから圧縮する構成が理にかなっています。

7. どちらを選ぶべきか:判断の3ステップ

判断の流れを1枚に整理しました。切粉の形状から入るのが最短です。

破砕機と圧縮機の選定フローチャート。切粉の形状と困りごとから適した装置を判断する

7-1. ステップ1:切粉の形状を確認する

まず、自社で発生している切粉がどの形状かを確認します。

切粉の形状第一選択
長い・カール状(旋削加工に多い)破砕機。まず短くする効果が大きい
粉状・細かい(鋳鉄・アルミ加工に多い)圧縮機。破砕の必要性は低い
混在している破砕機+圧縮機の直列構成を検討

7-2. ステップ2:いちばん困っていることを1つ選ぶ

課題によって優先すべき装置が変わります。

7-3. ステップ3:設置条件を確認する

最後に物理的な条件です。

これらは現場ごとに条件が異なるため、図面や現場写真をもとにご相談いただくのが確実です。

8. 見落とされがちな「切削油の回収」という視点

減容は「置き場が空く」という分かりやすい効果があるため、そこだけで判断されがちです。しかし運用に入ってから効いてくるのが、クーラントの回収です。

切粉に付着して持ち出されるクーラントは、日々少しずつ失われていきます。切粉の量が多い工場ほど、この累積は無視できません。

クーラントの管理という観点では、クーラント濾過装置との組み合わせも有効です。切粉側で油分を回収し、液側で微細なスラッジを除去することで、クーラントの寿命を延ばせます。

9. 既存設備に後付けできるか

「今あるチップコンベアを入れ替えずに導入できるか」は、よくいただくご質問です。

破砕機については、既存のチップコンベアの排出口に取り付けて組み込むことが可能です。 コンベア本体を入れ替えることなく、後工程だけを追加できます。

圧縮機については、切粉の受け方・搬入経路・設置スペースを含めた構成の検討が必要になります。現場のレイアウトによって最適な配置が変わるため、設備や用途に応じた構成をご提案しています。

モアテックでは、設計から製造・据え付け・保守点検までを自社で一貫して行っています。既存設備の状況をふまえた構成をご提案できますので、まずは現状をお聞かせください。

9-1. 導入費用について

装置の導入費用は、処理能力・設置条件・既存設備との接続方法によって大きく変わります。そのため一律の価格をご提示しておらず、個別にお見積もりいたします。

概算をお出しするには、次の情報があるとスムーズです。

すべて揃っていなくても構いません。現場の写真が数枚あるだけでも、かなり具体的なご提案が可能です。

10. まとめ:切粉の減容を検討するときのチェックリスト

切粉のかさを減らす装置は、破砕機と圧縮機で目的が異なります。検討の際は次の順で整理すると判断しやすくなります。

切粉処理は、搬送だけで完結するものではありません。運んだ後にどう減らすかまで設計して初めて、置き場・運搬・処理費・クーラントのコストが下がります。

モアテックは1992年の創業以来、愛知県半田市で切粉処理を専門に手がけてきました。チップコンベア・破砕機・クーラント濾過装置を自社で設計・製造し、据え付けから保守点検まで一貫して対応しています。

「うちの切粉ならどちらが合うか」「今のコンベアに後付けできるか」といった段階のご相談も歓迎しております。切粉のサンプルや現場の写真があれば、より具体的なご提案が可能です。

切粉処理でお困りのことがありましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。