2026年7月8日
「また切屑で機械が止まった…」「夜中に工場から緊急呼び出し…」
製造現場でよく聞かれるこうした悩み。一見小さな問題に見える切屑処理ですが、実は工場全体の収益性に大きな影響を与えています。

実際の製造現場では、以下のような問題が日常的に発生しています:
✓ 切屑詰まりによる予期しない設備停止
✓ 手作業での切屑除去による作業効率低下
✓ 切屑巻き込みによる製品品質の不安定化
✓ 設備内部への切屑侵入による故障リスク増大

実際の現場では…
例えば、設備が切屑詰まりで何度も止まると、
「本来なら生み出せたはずの利益」がどんどん失われていきます。さらに、手作業での処理や品質不良、設備故障のリスクも増大。
こうした“見えにくい損失”が、現場の収益性を大きく左右しています。
では、これらの問題が具体的にどれほどのコストを生むのでしょうか?次章で詳しく解説します。
多くの経営者が見落としがちなのは、切屑処理の不備が引き起こす連鎖的な問題です。ここでは、具体的な数値で年間損失を算出し、その深刻さを明らかにします。
切屑処理の不備は、以下の4つの分野で損失を生み出します。
| 損失項目 |
内容例・発生要因
|
年間損失額(例)
|
|---|---|---|
| 品質不良による損失 | 切屑の巻き込みによる製品の傷付き(発生率1.5%で継続発生) |
34.5万円(不良品30万円+手直し4.5万円)
|
| 設備故障による損失 | 切屑が原因で年1~2回の故障発生(1回あたり修理費27万円) | 55万円(修理40万円+予防保全15万円) |
| 手作業処理による損失 | 手作業での切屑処理に月間10時間の作業時間が発生 | 21.6万円(手作業18万円+清掃3.6万円) |
| 機会損失 | 切屑詰まりによる年間30時間の設備停止 |
10.5万円(30時間×3,500円/時間)
|
| 121.6万円 |
※上記は中小規模工場の一例です。実際の金額は現場条件により異なります。
【計算前提条件】
【チップコンベア導入による改善効果】
チップコンベア導入により、各損失項目が90%削減され、年間損失は12.16万円まで減少します。
削減効果:109.4万円/年
投資回収期間:9-22ヶ月
※導入コスト80-200万円の場合
【計算根拠】
設備時間単価はアイリンク株式会社の原価計算調査を参考にしています。年間売上は中小規模工場の一般的な稼働時間(1,400時間/年)と加工単価から算出しています。
出典: アイリンク株式会社「[実務における原価の疑問22 自動化はどれだけコストダウンできるのか]」
※中小規模工作機械メーカーでの一般的な事例
※工場規模や加工内容により変動します
チップコンベアとは、金属加工時に発生する切屑(チップ)を自動で搬出・排出する装置です。1960年代の初期型から現在まで約60年の歴史を持ち、単なる搬送機器から「工場全体のパフォーマンスを左右する基幹設備」へと進化しています。

チップコンベアは、製造業の85%以上で導入されており、以下の分野で幅広く活用されています:
各タイプの特性や用途を明確に比較して、現場に最適な選定を支援します。
ヒンジ(連結プレート)がベルトのように回転し切屑を押し上げ搬送。工作機械の標準装備として広く採用されています。
鋼材・ステンレス加工、多品種少量生産、汎用工作機械全般

水槽底部のカキ板(スクレーパー)が回転し、粉状切屑を効率搬送する設計です。
鋳物・アルミ合金加工、研削加工など粉体切屑が多い現場

永久磁石または電磁石で鉄系切屑を吸着し、鉄切屑だけを効率的に搬送・分離します。
自動車エンジン部品や高精度鋼材加工、精密部品現場
密閉ケーシング内でスパイラルスクリューを回し、切屑を軸方向に送り出すタイプ。設置性に優れるのが特長です。
小型機械、設置スペースに制約がある現場、既存設備への追加導入

| タイプ | 搬送能力 | 設置面積 | 初期コスト | メンテナンス性 | 汎用性 |
|---|---|---|---|---|---|
| ヒンジ式 | ◎ | △ | ○ | ○ | ◎ |
| カキアゲ式 | ○ | △ | △ | △ | ○ |
| マグネット式 | ○ | ○ | × | ○ | △ |
| スクリュー式 | △ | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
◎:優秀 ○:良好 △:普通 ×:劣る
適切な選定のためには、切屑の特性と現場の条件を正確に把握することが重要です。次章では、具体的な選定方法を解説します。
チップコンベア選定で失敗しないためには、現場の条件や切屑の特性を正確に把握し、最適な仕様を選ぶことが重要です。ここでは、選定時に必ず押さえておきたいポイントと、具体的な選定フローを解説します。
選定の第一歩は、現場の加工条件を詳細に調査し、切屑発生量を正確に計算することです。
現場ヒアリングと実測データの取得が、選定成功のカギです。

| 調査項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 加工材質 | 材質、硬度、磁性の有無、材料密度 |
| 切削条件 | 切削速度、送り、切込み、回転数 |
| 工具種類 | 工具材質、形状、刃数 |
| 切屑形状 | 長さ、厚さ、カール具合 |
|
被削径
|
工作物の直径(旋削の場合
|
切屑発生量 = π × 被削径 × 切込み × 送り × 回転数 × 密度 × 時間
計算例:S50C材の場合
発生量に安全率を掛けて搬送能力を決定し、設置環境の制約を確認します。
設置スペース
電源・ユーティリティ
環境条件
切屑の形状や性質によって、最適なチップコンベアのタイプは異なります。
例えば、粉状で磁性があればマグネット式、磁性がなければカキアゲ式。短尺切屑が大量に発生する場合はヒンジ式、少量ならスクリュー式。長尺切屑の場合は絡みやすさに応じてヒンジ式の仕様を選ぶなど、現場の実態に合わせた選定が不可欠です。
切屑の性状を正確に見極めることが、トラブル防止のポイントです。
適切なメンテナンスとトラブル対策により、チップコンベアの寿命を延ばし、安定稼働を実現できます。ここでは、実践的なメンテナンスプログラムとトラブル対策を解説します。
✓ 運転音の確認(正常:低い連続音、異常:金属音・断続音)
✓ 振動・異音の有無(手で触れて確認、振動計使用推奨)
✓ 搬送状況の目視確認(切屑の流れ、詰まりの有無)
✓ 安全装置の動作確認(非常停止ボタン、安全柵)
✓ 駆動部の給油状況確認(油面計、給油口の汚れ)
✓ ベルト・チェーンの張り調整
✓ 搬送量の測定記録(1時間あたりの搬送量、変化傾向)
✓ 電流値の測定記録
✓ 主要ボルトの締付け確認
✓ 軸受部の温度測定
✓ 摩耗部品の寸法測定
✓ 絶縁抵抗測定
✓ 全体分解清掃
✓ 消耗品の一括交換(ベルト、軸受、シール類)
✓搬送性能測定・調整
✓ 安全装置の機能確認(動作試験、記録保存)
搬送不良
症状:切屑が搬送されない、搬送量が少ない
| 原因 | 症状 | 対策 |
| チェーン・ベルトの伸び | 搬送速度低下、スリップ音 | 張り調整・交換 |
| 切屑の詰まり | 搬送停止、異常音 | 詰まり除去、対策仕様検討 |
適切な使用方法
環境対策
部品管理
ここまで解説した内容を踏まえて、最適なチップコンベア選定のためのチェックリストをご紹介します。このチェックリストを活用して、失敗しない選定を実現してください。
✓ 現場の加工条件を詳細に調査した
✓ 切屑発生量を正確に計算した
✓ 搬送能力に安全率を掛けて設計した
✓ 設置環境の制約条件を確認した
✓ 切屑形状を正確に把握した(粉状/短尺/長尺)
✓ 材質の磁性の有無を確認した
✓ 搬送能力に適したタイプを選定した
✓ 切屑の絡みやすさを考慮した
✓ 設置スペースが十分にある
✓ 電源・ユーティリティが対応している
✓ 搬入口・搬出口の位置・方向が適切
✓ 環境条件(温度、湿度、粉塵)が適している
✓ 定期的なメンテナンス計画を策定した
✓ トラブル時の対応体制を整備した
✓ 部品供給体制を確認した
✓ 運用コストを試算した
✓ 選定したタイプが現場の条件に適合している
✓ 設置スペースと電源容量が十分にある
✓ 将来の設備増設計画に対応できる
✓ 専門家のアドバイスを受けた

チップコンベアの選定でお困りの際は、当社へご相談ください。豊富な導入実績と技術力で、お客様の現場に最適なソリューションをご提案いたします。
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